品質目標とは?(定義・目的)
品質目標とは、組織が掲げる「品質方針」を現場で実行可能な形に落とし込むために設定する、具体的なゴール(数値・状態)です。ISO9001では、顧客満足や業務品質の向上に向けて“測定可能な目標”を定め、計画的に運用・管理することが求められています。
目的
- 品質方針を具体的な行動指針に変換する
- 部門・個人が進むべき方向性を明確にする
- 目標達成の進捗や成果を客観的に評価できる
品質目標の立て方(STEP形式・具体例)
STEP1.品質方針の確認
組織の「品質方針」を起点に考えます。 例:
- 顧客満足度の向上
- 不良ゼロの実現
- 納期遵守率の向上
STEP2.重点分野・課題の抽出
品質・業務上の課題や改善したいポイントを洗い出します。 例:
- クレーム件数
- 納期遅延
- 製品不良発生率
- 作業ミス件数
- 社内教育の受講率
STEP3.数値目標への落とし込み(SMART原則)
目標は「具体的(Specific)」「測定可能(Measurable)」「達成可能(Achievable)」「現実的(Realistic)」「期限付き(Time-bound)」を意識して設定します。 例:
- クレーム件数:前年比10%減
- 納期遵守率:98%以上
- 製品不良率:0.5%以下
- 社員教育受講率:100%
STEP4.達成のための計画・担当・期限の明確化
目標ごとに達成までの道筋を明らかにし、責任者や期限を決めます。 例:
- 計画:毎月の品質会議で進捗確認
- 担当:製造部リーダー、品質管理課
- 期限:2025年12月末まで
STEP5.進捗管理・見直し
- 定期的な進捗確認・記録(例:月次会議、グラフ管理など)
- 未達成時は原因分析し、改善策を検討・実施
よくあるミス・監査指摘(事例・対策)
典型的なミス・監査で指摘されやすい例
- 「数値がない」「測定できない」目標になっている → 数値化や客観的指標で表現することが必要
- 達成状況の確認・見直しがされていない → 会議や記録で進捗を『見える化』する
- 目標が毎年同じで形骸化している → 現場の課題や顧客の声を反映して見直しを行う
効果的な対策
- 現場担当者も巻き込み、納得感のある目標を設定(トップダウンのみNG)
- 未達でも「何が足りなかったか、どう学ぶか」に着目し、PDCAを回す
フォーマット例
- 品質目標管理表
目標項目 | 目標値 | 現状値 | 達成率 | 担当 | 期限 | コメント |
---|---|---|---|---|---|---|
クレーム件数 | 10件以下 | 8件 | 80% | 品質管理 | 12月末 | 進捗中 |
- 見える化ボード・グラフ管理 現場や会議室に目標・進捗グラフを掲示して、全員が目標を意識できる環境を作る
まとめ
- 品質目標は「数値化」+「現場目線」で設計することが成功のカギ
- 進捗管理・原因分析は定期サイクルで実施
- トップと現場でよくコミュニケーションしながら運用する
目標は「掲げて終わり」ではなく、「現場で動かし、活かす」ことが重要です。
なお、品質目標は必要に応じてマネジメントレビュー等で見直し・修正すれば十分です。
次回は「プロセスアプローチ」について解説予定です。
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