「是正処置って言われても、どう進めたらいいか分からない…」 「とりあえず“注意します”で済ませてきたけど、毎回同じ指摘が…」 ――そんな悩みや不安を抱える新任ISO事務局や現場担当者さん向けに、 是正処置の基本から進め方、役割分担、よくある失敗例までわかりやすくまとめました。
是正処置とは?(定義・目的)
- 是正処置とは?
発生した「不適合」や「ミス」について、“なぜ起きたか”の根本原因を掘り下げ、再発防止の仕組みをつくることです。 - 目的
単なる応急対応ではなく、「同じミスを二度と繰り返さない」職場を実現することがゴールです。
是正処置が発生する場面
- サーベイランス審査(外部審査)
外部審査員から「不適合」と指摘された場合は、是正処置報告書の提出が求められます。
例:「記録が残っていない」「教育訓練の証拠がない」など - 内部監査
社内監査で不適合や改善点が見つかった場合、現場や部門が是正処置を行います。
例:「手順書どおりの運用がされていない」「チェックリストが未記入」など - マネジメントレビュー
内部監査や運用で見つかった不適合・是正処置の進捗・効果を経営層に報告・確認します。
※ただし、是正処置そのものは現場主導で検討・実施が基本。経営判断が必要な場合のみ、マネジメントレビューで意思決定します。
是正処置の役割分担
役割 | 主な仕事 | 担当者 |
---|---|---|
対策実行 | 原因分析・是正処置の検討と実施 | 不適合が出た部門・担当者 |
進捗管理 | 報告書の回収、対応状況のチェック | 品質管理責任者/事務局 |
アドバイス・指導 | 必要に応じて現場へアドバイス・仕組みのサポート | 品質管理責任者/事務局 |
効果確認 | 是正処置の効果を確認、記録・証拠の整理 | 品質管理責任者/事務局 |
全体報告 | マネジメントレビューなどで経営層へ報告 | 品質管理責任者/事務局 |
- 現場主導で原因分析と対策を考えるのが基本。
- 品質管理責任者やISO事務局が旗振り役となり、進捗・記録の管理、現場サポート、経営層への報告を担当します。
- 旗振り役がいることで「やりっぱなし」や「放置」を防ぎ、全体の質向上につながります。
是正処置の進め方(STEP形式・具体例)
- 不適合の特定(何が起きたかを整理)
例:「検査記録が未記入」「手順書どおり運用されていない」 - 原因分析(“なぜ?”を繰り返す)
「担当者が悪い」で止めず、仕組みやルールの抜けまで深掘りしましょう。 - 再発防止策の検討と実施
「注意します」だけで終わらせず、手順の見直しや教育・仕組み改善など現場が納得できる策を考えて、実施します。 - 効果の確認・記録
対策後も「再発していないか」必ずチェック&記録しましょう(ここが抜けがちなポイント!)。
なお、効果確認の内容はマネジメントレビューの議事録にも残しておき、次年度以降に再度確認するのも有効です。
* 現場の「どうしたら良いか分からない」「本当に改善されているのか不安」という声が出たら、旗振り役に早めに相談するのも大切です。
よくあるミス・監査指摘(事例と対策)
- 「注意喚起」だけで終わる
→仕組みやルールの改善まで必ず掘り下げましょう。 - 原因が“現場のせい”で止まる
→組織全体や運用ルールまで視野を広げて考えましょう。 - 効果確認が不十分
→「やって終わり」にせず、再発がないか必ず後日確認・記録しましょう。 - 報告書の空欄が多い/書き方が分からない
→分からない点は早めに旗振り役へ相談しましょう。テンプレート作成して積極活用を!
まとめ
- 是正処置は「再発防止」がゴール。現場も納得できる具体策を考えましょう。
- 原因分析は「なぜ?」を繰り返し、仕組みやルールまで掘り下げましょう。
- 品質管理責任者(事務局)は旗振り役として進捗・記録・報告をサポートしましょう。
現場も管理側も納得する是正処置で、信頼される職場・ISO運用を目指しましょう!
次回は「品質方針ってどうやって決めるの?」です。
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