ISO9001の説明でよく出てくる「ステークホルダー(利害関係者)」という言葉。
でもこれ、初心者からするとかなり曖昧ですよね。
「お客様のこと?上司のこと?ISO審査員も含まれるの?」
「一体どこまでが“関係者”なんや…」
そんな疑問にお答えします!
ステークホルダー=利害関係者
ISO9001:2015では「組織の品質マネジメントシステムに影響を与える、または影響を受けるすべての人・団体」を 「利害関係者(ステークホルダー)」 と定義しています。
簡単に言うと、「組織の活動が影響を与える、または影響を受ける人たち全員」のことです。
よくあるステークホルダーの例(中小企業版)
カテゴリ | 具体例 |
---|---|
顧客 | 製品やサービスの利用者 |
従業員 | 社員、パート、アルバイトなど |
経営陣 | 取締役、管理職 |
供給者・外注先 | 材料の仕入先、外注加工業者など |
株主・オーナー | 株主、経営母体 |
地域社会 | 地元住民、自治体など |
規制機関 | 消防署、保健所、業界団体など |
審査機関 | 認証審査を行う機関(サーベイラズ) |
なぜステークホルダーを特定するのか?
ISO9001では 「リスクや機会の特定」 や 「目標設定」 の出発点として、
【組織の状況を把握する】必要があります。
そのとき必須になるのが「利害関係者のニーズと期待の把握」なのです。
例)
- 顧客:納期と品質を最優先してほしい
- 従業員:安全で働きやすい環境がほしい
- 地域住民:騒音や廃棄物に配慮してほしい
こうした「期待」に応えられてこそ、ISOが求める“顧客満足”や“継続的改善”が実現できるという考え方です。
文書化は必要?
実は、**ISO上は「文書化の義務なし」**です(明確なリストがなくてもOK)。
ですが、審査のときにはよく聞かれます。
✅「御社の主なステークホルダーはどなたですか?」
✅「そのニーズ・期待にどのように対応していますか?」
→ 手間はかかりますが、説明できるよう一覧表+簡単な対応方針メモを作っておくのがオススメです。
実際の対応例(ある町工場のケース)
利害関係者 | ニーズ・期待 | 対応策 |
顧客 | 安定した品質 | 品質チェックリストの運用 |
従業員 | 安全な職場 | 月1回の5Sパトロール |
地域住民 | 騒音対策 | 夜間作業の自粛 |
外注先 | 明確な発注書 | 作業指示書フォーマットを統一 |
おわりに
「ステークホルダー」なんて横文字で難しそうに見えますが、
要するに 「組織の活動に関わる“みんな”のこと」 です。
特定しておくことで、
・目標がブレない
・不満の芽を早くつぶせる
・審査の受け答えがスムーズになる
といったメリットが得られます。
一度、「うちの関係者って誰?」って考えてみると、
改善のヒントが見えてくるかもしれません。
次回は、ISO2015で出てきたあらたな考え方**「リスクベース思考とは?」**についてです!
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